○議員立法を結実させる取組み

 

 

 

 中央省庁改革から十数年で、法による見直しを必要とするほど内閣官房、内閣府に重要な政策課題が集中し問題が生じており、そこには「基本法類」が関わり、その中で議員立法の割合が高くなっている。国の取組みのうち、理念さえ整理されていない政策分野への対応の役割を大きく担うようになったものとして、議員立法の評価がなされるべき状況があると考える。また「ねじれ国会」が生じれば、閣法が提供するアリーナの狭まりどころの話ではなく、与党の妥協のハードルは多少下がるものの、議員立法や成立に議員立法と同様な与野党の協議を必要とする修正の取組みにより、変換型議会を動かしていなかければならない。

 

 

 

一方で、議員立法による政策実現の困難さは何ら軽減されていない。限られた法案審議の時間の枠をめぐって省庁間で競争が生じており、官僚の推進力が期待できない課題を政策アジェンダの上位に押し上げ、いかに議員立法に結実させるか。そしてそれを、国会というボトルネックでいかに通過させるか。そこには多くの力の結集と根気強い取組みが求められるのである。役割の高まりが認識されている、時代の求める議員立法による課題解決のために、その提出等をより円滑にするいくつもの動きがあったのは事実だが、それらが全て順調に展開したとは言えない[1]。しかし、様々な試行錯誤等を経ながら、今日ようやく新たな議員立法を支える形が構築されつつあるのではないか、と考えている。

 

 

 



[1]平成6年(1994年)の「国会改革への一つの提言」や平成26年(2014年)の与野党4党合意の国会改革案等の国会議員側の動きにより国会における制度的改善がもたらされていないことに加え、後掲する「市民立法機構」や民間非営利独立のシンクタンク等の「苦闘」とも言える状況を念頭に置いている。

 

(法政大学学術機関リポジトリ)

 

 

http://hdl.handle.net/10114/13808

 

 

(全文) 

 

http://repo.lib.hosei.ac.jp/bitstream/10114/13808/1/kss_6_miyazaki.pdf