○「SIPPRISMの戦略的活用によるCSTIの司令塔機能強化とSciety5.0/生産性革命の実現」

 

 

 

 こう言われて、わかる人はスッと分かるのでしょうが、、、。

 

 国の科学技術施策の重要な展開を示す言葉なので、順に整理してみたいと思います。

 

 

 

 「Society 5.0」は、5か年(平成28年~32年度)の日本の科学技術イノベーション政策の基本方針である「第5期科学技術基本計画」(平成28122日閣議決定)で提唱されたものです。内閣府設置法第18条で「重要政策に関する会議」とされる「総合科学技術・イノベーション会議」で策定されました。

 

 基本計画では、「世界に先駆けた「超スマート社会」の実現(Society 5.0)」として掲げられており、「ICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)とを融合させた取組により、人々に豊かさをもたらす「超スマート社会」を未来社会の姿として共有し、その実現に向けた一連の取組を更に深化させつつ「Society 5.0」として強力に推進し、世界に先駆けて超スマート社会を実現していく。」とされ、「超スマート社会とは、「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」である。」としています。

 

 「Society5.0」については、注で、「狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続くような新たな社会を生み出す変革を科学技術イノベーションが先導していく、という意味を込めている。」とされています。

 

 

 

 「統合科学技術・イノベーション会議」は、CSTICouncil for Science, Technology and Innovation:システィ)と呼ばれ、それまで「総合科学技術会議」とされていたものが変革(イノベーション)されたもので、それが最初に作ったのが第5期科学技術基本計画でした。

 

 

 

 国が目指す未来社会の姿、その実現に向けた一連の取組の「共有」はなかなか難しいと思いますが、定義等を一枚にまとめてみました。内閣府のイメージ動画も理解に役立つかと思います。

 

 

 

Society 5.0のための研究開発の推進をはじめとした施策の展開が、冒頭の「SIPPRISMの戦略的活用による・・・」に関連します。まずSIPとは、「戦略的イノベーション創造プログラム」のことで、Strategic Innovation Promotion Programの略です。

 

SIPは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクトです。国民にとって真に重要な社会的課題や、日本経済再生に寄与できるような世界を先導する10の課題に取り組むものから始まりました。各課題を強力にリードする10名のプログラムディレクター(PD)を中心に産学官連携を図り、基礎研究から実用化・事業化、すなわち出口までを見据えて一気通貫で研究開発を推進。経済成長の原動力であり、社会を飛躍的に変える科学技術イノベーションを強力に推し進めていくものです。平成30年から第2期の研究開発(平成29年度末~34年度の5年計画)が開始され、府省・産学官連携、出口戦略の明確化、マッチングファンドの要素等の優れた特徴を導入、国際標準・知財戦略、制度改革を新たに組み込み13課題を推進するものとなっており、平成31年度予算は、280億円です。

 

PRISMは、「官民研究開発投資拡大プログラム」のことで、Public/Private R&D Investment Strategic Expansion PrograMの略です。

 

PRISMは、平成2812 月に総合科学技術・イノベーション会議と 経済財政諮問会議が合同で取りまとめた「科学技術イノベーション官民投資拡大イニシアティブ」に基づき、600 兆円経済の実現に向けた最大のエンジンである科学技術イノベーションの創出に向け、官民の研究開発投資の拡大等を目指して、平成30 年度に創設された制度です。CSTIが政府全体の科学技術イノベーション政策の司令塔として、民間の研究開発投資誘発効果の高い領域(ターゲット領域)に各府省の施策を誘導し、それらの施策の連携を図るとともに、必要に応じて、追加の予算を配分することにより、領域全体としての方向性を持った研究開発を推進します。SIP型マネジメントの各府省への展開等の追求、国立大学における民間資金獲得のための取組の推進も内容とします。平成31年度予算では、100億円を計上しています。

 

このSIP280億円とPRISM100億円、そして医療分野の研究開発関連の調整費175億円を合わせた555億円が平成31年度予算の科学技術イノベーション創造推進費とされています。

 

 

 

以上、内閣府のホームページよりまとめましたが、次にホームページのSIPの図の部分を掲げます。

 

  • 内閣府計上の「科学技術イノベーション創造推進費」を平成26年度政府予算案において500億円確保。(予算の流れ)内閣府各省庁へ移し替え(管理法人)研究主体

    実施体制

    総合科学技術・イノベーション会議の下にSIPの着実な推進を図るためのガバニングボードが設置されており、各課題の責任者であるプログラムディレクターはガバニングボードの評価・助言を受けながら課題を推進する。また、プログラムディレクターが議長、内閣府が事務局を務める推進委員会を適宜開催。推進委員会では、関係府省、管理法人、専門家等と研究開発計画の作成や実施に必要な調整などを行う。

 

  • 課題ごとにPDを選定。

  • PDは関係府省の縦割りを打破し、府省を横断する視点からプログラムを推進。

  • ガバニングボード(構成員:総合科学技術・イノベーション会議有識者議員)が評価・助言を行う。

    公募により、産学からトップクラスのリーダーをPD(プログラムディレクター)として選出

 

  • ImPACT」、「FIRST」、「ムーンショット」

     

    戦略的研究開発には、ImPACTというものもあります。これは、「革新的研究開発推進プログラム」でImpulsing Paradigm Change through Disruptive Technologies Programの略です。平成2530年度のもので、それ以前のものが平成2125年のFIRST「最先端研究開発支援プログラム」です。ImPACTは、実現すれば産業や社会のあり方に大きな変革をもたらす革新的な科学技術イノベーションの創出を目指し、ハイリスク・ハイインパクトな挑戦的研究を推進することを目的として創設されたプログラムで、FIRSTにおける研究者優先の制度的優位点と、研究開発の企画・遂行・管理等に関して大胆な権限を付与するプログラム・マネージャー(PM)方式の利点を融合した仕組みを特徴としています。

    このImPACT5年の区切りを迎えることを受け、失敗も許容した大胆な挑戦が可能となるようImPACTの研究開発手法を改善・強化し、関係府省庁に普及・定着させるとともに、関連施策の見直し

    等も図りつつ、独創的かつ野心的な構想の下、開発府省庁が一体となって集中・重点的に研究開発を推進する仕組みとして出されたのが、「ムーンショット型研究開発事業」です。ケネディ米大統領が、人類を月に送るとした「月ロケット打上げ」計画から来ているとされます。

    平成30年度第2次補正予算に800億円が計上されました。具体的には、CSTIが示す「ムーンショット目標」の実現を目指し関係府省が連携して、多様な技術・アプローチを採択し、機動的な取捨選択・再編と政府全体としてのポートフォリオ管理を導入し、多様な技術的アイディアを持つトップ研究者党(PM)を広く募集して、世界最先端の挑戦的研究開発を推進するというものです。

     

     

    SIPPRISMCSTISciety5.0、そしてImPACTFIRST、ムーンショット。

       ・・・科学技術研究の展開には、名称だけでも追いつくのは大変です。