○「つるし」

 

 

 

国会法§562は、「各議院に発議又は提出された議案につき、議院運営委員会が特にその必要を認めた場合は、議院の会議において、その議案の趣旨の説明を聴取することができる」と定め、これに基づく本会議趣旨説明要求が付くと、それが与野党合意等で取り下げられることがなければ、法案が議長のもとに留まり、委員会には付託されない状況が生じます。

 

この本会議趣旨説明要求を、国会の関係者は「つるし」と言います。「つるし」が付いている、あるいは「つるされている」状況そのものを「つるし」と言うこともあります。

 

 実際に当該法案の本会議趣旨説明を求める気がなくても、提出された、あるいは他院から送られて来た法案のほぼ全てに本会議趣旨説明要求を付けて、「つるし」を付けて、法案審査の進度調整を図ろうという手が、野党により行われることがあります。

 

最終的に与党は、議院運営委員会での採決により、多数でこの「つるし」を認めず、委員会に付託することができますが、野党は、与党がそのような手段に出る前のぎりぎりのところまで粘って、「つるしを降ろす」こと等により、少しずつでも法案審査に係る日数を稼ぎ、最終的に対立法案の廃案を目指したり、修正を求めたりすること等も行われています。