〇参議院の予算の「委嘱審査」

 

 

 

参議院規則第75条(第1項)で「予算委員会及び決算委員会は、審査の便宜のため、これを数箇の分科会に分けることができる。」とされていますが、同規則第74条の4第1項で、「予算委員会は、他の委員会に対し、審査中の総予算について、当該委員会の所管に係る部分の審査を期限を付して委嘱することができる。」同第2項で、「前項の審査の委嘱を受けた委員会の委員長は、その審査の後、審査概要を予算委員会に報告するものとする。」同第3項で「予算委員会は、第1項の委嘱に係る審査期間内であつても特に必要と認めたときは、総予算の審査を行うことができる。」とし、委嘱審査について定めています。

 

 

 

これは昭和57年2月の参議院改革協議会の答申、すなわち「予算は国の施策の根幹をなすものであり、その十全の審査は立法、国政調査と並ぶ国会の重要な責務であることはいうまでもない。」「この重要な責務に全議員が参画したいとの要望がかねてから議員間にあり、また、より参議院らしい予算審査方式を確立したいとの観点に立って検討した結果、予算委員会をはじめ関係各方面の意見をも踏まえ、(略)他委員会が予算審査に関与できる方式を提案するものである。」というものに基づく、同年3月の同規則一部改正によるものです。

 

 

 

予算は、予算委員会の分科会ではなく、内閣委員会、総務委員会、等、参議院議員がどれか一つの委員会の委員となっている第一種の常任委員会と、沖縄及び北方問題に関する特別委員会等いくつかの特別委員会に委嘱されます。

 

審査概要報告は、通常、翌日の予算委員会で報告されますので、審査概要報告は、当日の夜に作成されます。

 

 

 

平成25年版参議院委員会先例録178の分科会の項の注には、「予算委員会は、第94回国会における昭和56年度総予算の審査までは分科会に分けるのを例とした(第13回国会、第15回国会、第16回国会及び第77回国会は分科会に分けなかった。 )が、参議院規則の一部改正(昭和57年3月3日議決)により委嘱審査が行われることとなったため、第96回国会における昭和57年度総予算の審査以降においては、分科会を設けていない。」とあります。

 

 

 

参議院規則第74条の2は、「議員は、同時に2箇を超える常任委員となることができない。2箇の常任委員となる場合には、その1箇は、国会法第42条第3項の場合を除き、国家基本政策委員、予算委員、決算委員、行政監視委員、議院運営委員又は懲罰委員に限る。」としています。

 

平成25年版参議院委員会先例録8は、「議員は、少なくとも1個の常任委員となり、同時に2個を超える常任委員となることはできない」としています。その説明文には、「議員は、少なくとも1個の常任委員となる。この場合、議員は第一種委員(内閣、総務、法務、外交防衛、財政金融、文教科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、環境の各委員)のうちのいずれかの委員に選任される。ただし、議長、副議長、内閣総理大臣その他の国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣又は大臣政務官の任にある議員は、その選任された常任委員を辞任することができる。」「議員は、同時に2個を超える常任委員となることはできない。議員が2個の常任委員となる場合は、そのうちの1個は第二種委員(国家基本政策、予算、決算、行政監視、議院運営、懲罰の各委員)に限られる。ただし、議長、内閣総理大臣等が第一種の常任委員を辞任したときは、その者が属する会派の議員がその委員を兼ねることができる。この場合において、議員は同時に2個を超える常任委員となることはできないので、その委員を兼ねようとする議員が既に第二種委員を兼ねているときは、あらかじめこれを辞任しなければならない。」としています。