〇構造改革特区で認められた株式会社立の大学であるデジタルハリウッド大学の2018年度卒業制作展に行って来ました。

同校は、クールジャパン戦略の推進に大いに貢献する人材を輩出しているとされます。

(H31.2.16)

 

○特区とは

 

 

 

政府の施策の「特区」と呼ばれるものには、3つのものがあります。

 

 

 

名称

国家戦略特区

構造改革特区

総合特区

内容

“世界で一番ビジネスをしやすい環境”を作ることを目的に、地域や分野を限定することで、大胆な規制・制度の緩和や税制面の優遇を行う規制改革制度

自治体からの提案により、実情に合わなくなった国の規制を緩和し、これまでは事業化できなかったことを特別にできるようにするもの

実現可能性の高い先駆的取組を行う区域に、規制・制度の緩和に加え、税制・財政・金融上の支援といった総合的な支援を行うもの

根拠法

国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号)

構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)

総合特別区域法(平成23年法律第81号)

国・地方・民間の関係

国が区域や区域方針を決定。

特区ごとの会議に、国・地方公共団体・民間事業者が対等の立場で参画し、特区計画を密接な連携の下に作成・合意。国が認定。

規制の特例措置を活用する地方公共団体からの申請に基づき、国が特区計画を認定。

地方公共団体からの申請に基づき、国が特区を指定、特区計画を認定。

対象区域

政策テーマ・プロジェクトに応じ、国が決定した区域に限定して、適用。

特区計画の認定について、全ての地方公共団体が申請可能。

指定地方公共団体が計画認定を受けた区域に限定して、適用。

指定区域/認定計画数

10区域

※平成28年1月現在

累計1,321件の特区計画を認定

※平成301220日現在

48区域(国際7、地域41

※平成259月現在(当面指定を見合わせ)。その後10区域(地域)が指定を解除(平成303月現在)。

支援措置

規則の特例、税制・金融上の措置

規制の特例

規制の特例、税制・財政・金融上の措置

 

首相官邸HPhttp://www.kantei.go.jp/jp/headline/kokkasenryaku_tokku2013.html?nt=1)、内閣官房資料等より作成。

 

 

 

法律番号から成立順に直すと、構造改革特区(H14)、総合特区(H23)、国家戦略特区(H25)となります。

 

 

(1)構造改革特区は、「聖域なき構造改革」を唱えた小泉内閣により創設されたものです。

 

 民間事業者、地方公共団体等からの提案に基づいて国が規制の特例措置を認定し、その実施状況について、有識者からなる構造改革特別区域推進本部・調査委員会が評価を行います。その上で、特段の問題がないものは、原則として全国レベルの規制改革に拡大されます。

 

 平成301220日現在、認定計画の類型は1,321件、内活用している計画が420件、全国展開等された計画が901件となっています。

 

 平成31年度税制改正では、構造改革特別区域法の改正を前提に、清酒の製造免許を保有する者が、地域の活性化を図ることを目的として、構造改革特区内において清酒の製造体験を実施しようとする場合における酒税法の特例措置を講ずることとされており、第198回国会に法案の提出が予定されている。

 

 

(2)総合特区は、地域の先駆的な取組(①我が国の経済成長のエンジンとなる産業・機能の集積拠点の形成を図る「国際戦略特別区域」、②地域資源を最大限活用した地域活性化の取組による地域力の向上を図る「地域活性化特別区域」)について、構造改革特区では、規制の特例措置のみを行うのに対し、総合特区では、それに加えて、税制・財政・金融上の措置をとるものとされます。

 

 地方公共団体からの申請に基づき、国が特区を認定、特区計画を認定する点は、構造改革特区とほぼ同様。構造改革特区では、全ての地方公共団体が申請できましたが、総合特区は、指定地方公共団体が計画認定を受けた区域に限定して運用をするものです。平成259月現在で、48区域(国際7、地域41)が認定されましたが、当面指定が見合わされており、その後、10区域(地域)が指定解除となっています(平成303月現在)。

 

 

(3)国家戦略特区は、従来の特区が、自治体・団体から計画を国に提案するという、いわばボトムアップ型の規制改革の取組である一方で、対象区域の選定に国が主体的に関わり、スピード感を持って岩盤規制を突破する仕組になっています。また、各区域ごとに置かれる国家戦略特別区域会議に、国・地方自治体・民間事業者が対等な立場で参画し、密接な連携のもとに区域計画を作成するという特徴があります。平成281月までに10区域が指定されています。規制の特例に加え、税制・金融上の措置を内容としています。規制改革事項を追加で盛り込む法改正を経て、法人設立手続の簡素化・迅速化、地域限定保育士の創設、公立学校運営の民間開放、企業による農地取得、過疎地等での自家用自動車の活用拡大、小規模認可保育所の対象年齢の拡大、農業外国人の就労解禁等の規制の特例措置が定められています。

 

(3)-2国家戦略特区の動き

 

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律(平成29年法律第71号)の附則において、①(自動車の児童運転、小型無人機等の高度な産業技術の有効性の実証を行う事業活動に関する規制の見直し等(「レギュラトリー・サンドボックス(規制の砂場)」制度の創設、②公共施設等運営権者が第三者に対して公共施設等の使用を許すことが可能となる具体的方策、について、検討し、必要な措置を講じるものとされましたが、②の方は、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律」(平成30年法律第60号)により措置され、①については、第198回国会に関係する法案が提出される予定とされます。また、平成3010月以降は、「スーパーシティ構想」というもので国会戦略特区の一層の活性化に取り組むべく、基本的なコンセプトの取りまとめ等が行われています。

 

 

 

○デジタルハリウッド大学は平成17(2005)に構造改革特区により設置された株式会社立大学です。

 

平成1511月に、構造改革特区の第3回認定で、東京都千代田区の「キャリア教育推進特区」が認められています。区域の範囲は、東京都千代田区の全域、特区の概要としては、「株式会社が大学や専門職大学院の設置主体となることを認めることにより、地域における高い専門性をもった人材の輩出、地元企業との連携の充実、雇用や消費の拡大など、地域社会・経済の活性化を図る。また、実学のニーズに応える専門教育機関の開設により、教育の多様化を図るとともに、区民の生涯学習の活性化を図る。」とされており、規制の特例措置については、「学校設置会社による学校設置」「校地・校舎の自己所有を要しない大学等設置」とされています。

 

(首相官邸 内閣府地方創生推進事務局のHPより。)

 

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kouzou2/kouhyou/031128/siryou3.pdf

 

 

 

 デジタルハリウッド大学は、3DCGやアニメ、ゲームまでクールジャパンの推進に大きな役割を果たしているとされます。

 

 クールジャパンは、平成226月に閣議決定された「新成長戦略」で「クールジャパン戦略の推進」として掲げられ、「クールジャパンの発信、輸出、海外展開施策の実施」等の記載があります。

 

平成3010月の内閣府知的財産戦略推進事務局の「クールジャパン戦略について」(https://www.cao.go.jp/cool_japan/about/about.html)では、クールジャパン戦略のねらいを平成27年6月に定められた「クールジャパン戦略官民協働イニシアティブ」より、次のようにしています。

 

クールジャパン

外国人がクールととらえる日本の魅力(アニメ、マンガ、ゲーム等のコンテンツ、ファッション、食、伝統文化、デザイン、ロボットや環境技術など)。

クールジャパン戦略

クールジャパンの、(1)情報発信、(2)海外への商品・サービス展開、(3)インバウンドの国内消費の各段階をより効果的に展開し、世界の成長を取り込むことで、日本の経済成長につなげるブランド戦略。