〇-期間の計算・初日算入の仲間-

 

 「年齢計算ニ関スル法律」と「国会法」

 

 

 

 X年4月1日生まれの子どもが小学校に入学するのは、(X+6)年4月ですが、1日遅いX年4月2日生まれの子どもが小学校に入学するのは、(X+7)年4月ということは、多くの皆さんご存知だと思います。

 

 年齢計算ニ関スル法律第1項に「年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス」と規定され、その生まれた日を第1日目として年齢を計算することになっていることによります。そうすると、X年4月1日生まれの子どもは、(X+6)年3月31日をもって満6歳になります。

 

 学校教育法第17条は、「保護者は、子の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満12歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。」とあります。

 

 小学校の学年は4月1日に始まりますから、満6歳になる日が3月31日であれば、その翌日の4月1日に小学校に入学することになり、4月2日生まれの子どもは、満6歳に達する4月1日の翌日以降における最初の学年、すなわちその次の年の4月1日に始まる小学校の学年からということになります。

 

 

 

 

 

 これに対し、期間を計算する場合、基本は、民法第1編第6章によります。

 

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(期間の計算の通則)

 

第138条  期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。

 

(期間の起算)

 

第139条  時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。

 

第140条  日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

 

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 このように実は「初日不算入」が通則なのです。

 

 

 

「年齢計算ニ関スル法律」の規定は、特別の定めの「初日算入」なのでした。

 

 

 

 そして、「初日不算入」が適用されないものとして、国会法の世界があります。

 

 

 

国会法第133条は、「この法律及び各議院の規則による期間の計算は、当日から起算する。」としています。

 

 

 

憲法の国会に関する規定についても、同様に期間を計算することが先例となっており、例えば憲法第60条第2項「予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」の30日は予算を受領した日を含めて計算します。※

 

 

 

参議院が予算を受領した日から30日目の日の午後12時は、すなわち翌日の午前零時とされます。これは、「明治5年 太政官布告第337号(改暦ノ布告)」(総務省の法令検索で見ることができます。)によるものです。

 

ただ、30日目の日が会期の最終日となることも予想され、このような場合にその成立日を30日目の日の翌日の午前零時として表示すると会期外の日に予算が成立したのではないかとの無用の議論を引き起こしかねず、30日目の日の午後12時をもって、その成立日時を表示することが適当とされています。(平成元年4月の参議院法制局見解と伝わっています。)

 

 

 

(※・・・この「受領」については、Wikipediaの「自然成立」の頁に、「自然成立の起算点である「衆議院議決案を参議院が受領した日」について、衆議院事務局は「衆議院議決案を参議院に送付又は回付した日と同日」としているが、参議院は「送付又は回付された衆議院議決案の受領を参議院の任意で判断した日」とし、解釈が分かれている」と書かれていますが、幸い、「解釈が分かれている」と書かれた原因となる事情が生じた年は、どちらの立場の計算の30日より前に参議院で予算を議決しており、問題は生じませんでした。)