○アカンサスの文様

 

 

 

アカンサスという植物をご存知ですか?

 

 この植物がアカンサスです。

 

                

 

 「デジタル大辞泉」によると、「1 キツネノマゴ科ハアザミ属の常緑多年草の総称。アザミに似て葉にとげがある。初夏、1.5メートルくらいの茎の先に唇形の花を穂状につける。地中海沿岸の原産。」とあり、「 西洋古典主義の建築・美術で、装飾文様に用いた1の葉形。」とされています。

 

 「西洋古典主義の建築」と言えば、我が議事堂本館がそうです。正玄関のエンタシスの柱も含め、欧米の多くの議会の建物と同様、ギリシャ・ローマからの民主主義の伝統を引き継ぐものとしての主張が表れた建物となっています。その一つとして、この地中海原産のアカンサスの葉の文様が、いろいろなところで見られます。

 

                 

 

 図のような柱の飾り(憲政記念館の模擬議場の柱の写真)の部分は、ぎざぎざのアカンサスの葉の形態がわかりやすくデザイン化されたものと言えましょう。

 

 また、参観ホールに展示されている仮議事堂時代の御席の肩や足の部分(ここに獅子がいたって知ってましたか?)にも、見るからにアカンサスの葉という文様があります(獅子の胸)。

 

葉の写真も参考に、議事堂本館の内外でこのアカンサスの葉の文様を探してみてください。あちらこちらに見つけることができるはずです。

 

 また、国会前庭の都道府県の木が植えてある小道の近くに、このアカンサスが、竹でつくった低い垣根の中に植えられており、現物も見ることができます。

 

 これらがギリシャ・ローマから来たもの、3千年の民主主義の歴史を表すものと考えると、それなりの感慨も生じるのではないかと思います。

 

                         

 

 

 

 さて、問題なのは、花の方です。アカンサスの花は、紫のくちばしから白い舌を出したような、独特なものです。これを図案化したものを議事堂の中で見つけることはなかなか難しいです。

 

それどころか、アカンサスの葉がベースとなったと思われるものの近くには、5枚の花びらを持つ花の文様があったりします。そう桜の花のような文様です。

 

               

 

          (いずれも衆議院第1委員室の壁の文様)

 

 アカンサスの葉の文様は受け継がれたものの、その花の文様の方は、その国のポピュラーな花の文様に置き換えられたものもあるということだと思います。民主主義の伝統も、その国ごとに開花し、発展していく必要がありますからね。

 

 

 

 いずれにしろ、議事堂本館のアカンサスの文様は、今日も、我が国民主主義の発展の様子を見守ってくれています。