④特定非営利活動促進法
特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)
(第139回国会衆第18号市民活動促進法案(熊代昭彦君外4名))
問題の流れ |
政策の流れ |
政治の流れ |
○問題の認識 ▷市民活動における法人格の必要性 ▷阪神淡路大震災(平成7年(1995年)1月17日)の発生とボランティアの活躍 |
○多様なアクターの様々なアイディア ○議論による修正、検討対象の選定 ▷総合研究開発機構(NIRA)「市民公益活動の基盤整備に関する調査研究」(平成6年(1994年)3月) ▷平成6年11月、市民団体24団体により「シーズ=市民活動を支える制度をつくる会」が結成され、市民活動促進法案の検討が重ねられる。 ▷省庁の動き ▷各政党の動き ▷全国各地で市民団体によるシンポジウム等 |
○政策形成に携わる人々の政策案の受入れの姿勢 ▷経済企画庁や各省庁、政党の中での議論 ▷村山自社さ連立政権発足(平成6年(1994年)6月) ▷被災者支援も復興もボランティアがいなければ立ち行かないという認識。 ▷「ボランティア問題に関する関係省庁連絡会議」 ▷与党3党による「NPOプロジェクトチーム」、新進党「NPOパートナーズ」 ▷村山内閣退陣、橋本内閣発足(平成8年(1996年)) ▷民主党結成(同年9月) ▷衆議院総選挙(同年10月) ▷与党3党案と民主党の修正 ▷参議院における修正 |
政 策 事 業 家 (policy entrepreneur) の 動 き ▷山岡義典日本NPOセンター事務局長をはじめ、東京ランポ、自由人権協会、市民フォーラム2001等、様々な市民団体の関係者が、阪神淡路大震災の前から市民活動の法人化の調査・研究を行っていた[1]。 ▷シーズの松原明事務局長(当時)は、国会内での精力的なロビー活動で「NPO法を「作った」ロビイスト」として、駒崎弘樹・秋山訓子の前掲『社会をちょっと変えてみた』の155~187頁にも取り上げられているが、その他、全国展開での地方出身議員への地元NPOからの働きかけも有効だったとされる。また、日本国際交流センターの山本正設立者が経団連等保守派を説得してまわったとされる[2]。 ▷国会議員では、自民党の加藤紘一代議士(超党派のNPO議連の代表)、社会党の辻元清美代議士、さきがけの堂本暁子議員が中心的な役割を果たした者として挙げられる。 |
この法律の動きは、時期的に多少被災者生活再建支援法と重なる。
実に多様な市民団体が調査・研究そして協議を重ね、法案の形で提言を行う「市民立法」の形をとったことも注目されるが、シーズの松原氏の精力的なロビー活動等や、堂本議員、辻元代議士等により、対立を超えた前進を目指し法律の成立に結びつけたことも注目される。
政府がボランティア支援の文脈で対応すべく省庁連絡会議の中間報告を行おうとしたことを、市民側が反対し取り止めさせ、議員立法で対応するようになったこと、社会党、さきがけの考え方と自民党の考え方とのすり合わせ、民主党との修正協議、参議院での廃案の危機への対応等、その詳細については、認定NPO法人まちぽっとが、「NPO法立法過程記録の編纂・公開プロジェクト」に取り組んでおり、そちらが詳しい。
プロジェクトの一環として行われた平成28年(2016年)3月12日のシンポジウムでは、「NPO法立法過程の記録は、単なる過去の歴史資料ではなく「NPOと政治」「議員立法」「市民主体のアドボカシ-」など現在及び今後の市民社会の形成や政策立案等に有益な内容を含んでいます。また立法過程を通じて、市民、市民団体、企業、行政が協働して、新しい社会を作り上げるために共同した社会的ダイナミズムをもう一度捉えることも重要だと考えられます」ということが掲げられている[3]。
こうした動きは、大いに共感できるものである。本法律をめぐるより詳細な情報は、まちぽっとの取組みに譲りたい。
[1] NPOまちぽっと「NPO法立法過程記録の編纂・公開プロジェクト」のHPに詳しい。(http://machi-pot.org/modules/NPOlaw/index.php?content_id=8)
[2] NPOまちぽっと-4-1NPO法立法過程記録編纂・公開記念シンポジウム(3/2)、辻元代議士の発言。(http://machi-pot.org/modules/NPOlaw/index.php?content_id=9)
[3] 前掲HP。
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