◯請願の採択

 

 

 

198回国会の会期末、令和元年626日。内閣委員会では、請願審査が行われました。

 

地方議会での請願審査はかなり実質的な議論がなされると聞いてますが、国会に出される請願は、国政の論点が様々に報道されるからか、与野党が対立する案件について野党サイドに立つ意見のものが少なくないという印象で、委員会で「採択し、内閣に送付すべき」と全会派一致の合意がなされるのは難しいものが多いのではないかと思います。「これはダメだ」と議論をするのは忍びないからか、理事会で全会一致しないものは「保留」ということで、処理されない運用です。(その後、審査未了となります。)

 

 

(他方、令和元年619日産経新聞の報道によると、「東京都議会は19日の定例会で、選択的夫婦別姓の法制化を促す意見書を国に提出するよう求めた請願を賛成多数で採択した。議会最大会派の都民ファーストの会や公明党などが賛成し、自民党は「時期尚早」として反対した。」とあるが、都議会での請願の採択が全会一致でないことがわかります。)

 

 

 

ただ、政府も議員も余り検討していない案件についての請願が出されれば、国会でも議論され採択される可能性はあるかと思います。

 

 

 

また、政府も議員も課題は認識しつつも、これから本格的に施策が行われようとしている時に、それをしっかりやって欲しいというようなものも、採択され得ると思います。

 

 

 

上のような請願を超党派の議員連盟を絡めて、与党議員にも請願の紹介議員になってもらうと、採択の対象になる可能性が一層高くなると思います。

 

 

 

国会における請願のアドボカシー活動でも、請願を出して議員の質問に取り上げてもらえる等だけで良いものはいいのですが、採択を目指すなら、それなりの戦略が必要と考えます。

 

 

 

参議院の内閣委員会は、「学童保育(放課後児童健全育成事業)を拡充し、子育て支援の充実を求めることに関する請願(1183)9件」を「採択すべきものにして内閣へ送付するを要するもの」と委員会で全会一致で審査決定し、その後の参議院本会議でそのように採択することに議決されました。

 

(添付の請願手続を示す図は、衆議院のHPのものを参考に作成。図の③が、いわゆる「保留」とされるもの。今回の委員会での決定は、①、④、⑥というもの。実際、②、⑤、⑦の決定はほとんど行われません。)

 

 

 

子ども子育ての関係は内閣府でとりまとめ、予算も持ってますが、学童保育の施策の多くは、厚生労働省が担っているというようなこともあり、省庁再編後の内閣委員会での請願を採択すべきとしたのは、アイヌ関係以外ではなかっただけに、感慨深いものがあります。添付の「新・放課後子ども総合プラン」は、内閣府の資料。中央省庁再編後、国会の常任委員会が再編された第151回国会(H13.1.31召集)以降、参議院内閣委員会では、第169回国会(H20.1.18~6.21)に「アイヌ民族の先住民権確立に関する請願(3465号)」を採択。

 

 

 

同内容の10本の請願が与野党議員の紹介で出されていて、それらの署名を合計すると33,331名の署名でした。内閣に送付されると、内閣はその請願を受けて施策をどう行ったかということを国会に報告しなければなりません。当該請願は、626日中に、内閣に送付されました。

(請願の内容、処理状況等は、写真のように、参議院のホームページで確認できます。)