○議員立法の件数の実態から見えるもの
議員立法とはどういうものかということについて、議員立法の件数の積み上がり等に基づく分析をここでまとめてみたいと思います。
まず、議員立法の提出件数の、平成になってからの右肩上がり高止まりの現象があります。
類型別検討によれば、従来、議員立法の得意分野とされていた「士法」、「業法」等、特定の業界等のためのものの伸びがない中で、野党の対案や先取り提案等が大きく増加しています。
日本が連立の時代に入ったいわゆる93年体制で、衆議院の小選挙区制で政党中心の政策選択が言われる中、各政党の能力と意欲の高まりから、議員立法という形での政策表現が大きく増加したと考えられます。ただ、これらだけでは、例えば対案なら、まさに閣法が提供する国会のアリーナの中で闘われるものであり、野党の先取り提案型も含めて、議員立法の役割が大きく変化したとは言い難いと考えます。
注目すべきは、与党がかかわるものや、件名に「基本法」等の件名が入った議員立法の着実な増加です。これらは成立率も高い。これらについては、「基本法類」のところで詳しくみています。
件数において、閣法と議員立法の国際比較や成立率等の検討も行いましたが、議院内閣制をとっている欧州主要国の英仏独と比べて、日本の議員立法の成立率は劣っていない上に、件数では閣法に迫り、成立した法律の議員立法占有率は、20~30%程度に達しています。
これらより、国際的に見ても、日本国内において、議員立法にある程度の役割が担われており、更にその役割が増大しつつあると考えてよいのではないでしょうか。
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