○国会法第105条による検査要請(平成29(2017)年11月)

 

 

 

 学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査は、平成2936日に参議院(予算委員会)が国会法第105条に基づき、要請したもので、平成291122日に報告がなされました。

 

 平成9年の改正で設けられた国会法第105条には、「各議院又は各議院の委員会は、審査又は調査のため必要があるときは、会計検査院に対し、特定の事項について会計検査を行い、その結果を報告するよう求めることができる。」とされ、会計検査院法第30条の3には、この要請に対する会計検査院の報告について定められています。

 

 会計検査院のホームページ(http://www.jbaudit.go.jp/report/demand/)には、「平成9年から、国会は、特定の事項について検査を行い、その結果を報告するよう求めることができるようになりました。」「会計検査院は、国会から検査要請があった事項について、検査の結果がまとまり次第、報告しています。また、その概要を決算検査報告に掲記しています。」とし、「これまで報告した事項は、次のとおりです。」とし、各年に報告したものを掲載しています。森友学園に対するものも、要約と全文のPDFが掲載されています。

 

 

 

 平成9年の国会法改正は、第141回国会参第4号と衆第22号で行われています。参第4号の改正は、参議院の第一種常任委員会を、それまでの内閣委員会から建設委員会までの省庁別のもの13から、「外交・防衛」、「文教・科学」、「国土・環境」のような基本政策別の12の委員会に再編し、参議院に新たにオンブズマン的機能を備えた行政監視委員会を、予算委員会、決算委員会等と並ぶ第二種常任委員会として設置するものであり、衆第22号は、衆議院の常任委員会として、決算委員会を改組して新たに決算行政監視委員会を設置するとともに、第104条に内閣又は官公署が各議院又は各議院の委員会からの報告又は記録の提出の求めに応じないときは、その理由を疎明しなければならないもの等とする規定を整備し、第105条として、会計検査院に対する特定事項の検査の要請に関する規定を設けるものでした。さらに衆議院事務局に調査局及び法制局に法制企画調整部を設置する等も内容としています。

 

 このように、国会法第105条は、官僚の不祥事の発生や政権交代の中で、国会の行政監視等調査能力向上の一連の動きの中で設けられた制度でした。

 

 制度発足以来、衆議院の決算行政監視委員会や参議院の行政監視委員会がこの要請を行った例はありますが、その後は参議院の決算委員会が毎年のようにこの制度を利用し、検査要請を行っておりましたが、今回は、参議院の予算委員会が制度発足後初めてこの要請を行いました。

 

 この平成9年の国会法改正のうち、特に参議院の行政監視委員会の設置は、個人的にも関わったものでありますが、その点に関しては、特集の英国議会オンブズマンの項をご覧ください。