EBPMについて

 

 

 

○官民データ活用推進基本法(平成28年法第103号)には、第3条第3項に、基本理念として、「官民データ活用の推進は、国及び地方公共団体における施策の企画及び立案が官民データ活用により得られた情報を根拠として行われることにより、効果的かつ効率的な行政の推進に資することを旨として、行わなければならない。」等の規定があるが、同法第8条第1項による基本計画「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(平成29530日閣議決定)にEBPMについて規定されている。

 

 

 

○「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(平成29530日)

 

・第2部の官民データ活用推進基本計画の「Ⅰ-1(5) 官民データ活用によるEBPMの推進」に、「国民に信頼される行政を展開するためには、EBPMサイクルの構築により、政策部門が、官民データ等を積極的に利活用して、証拠に基づく政策立案を推進する必要がある。」とし、「「統計改革推進会議最終取りまとめ」(平成29519日統計改革推進会議決定)に基づく着実にEBPMを推進する。」とある。「EBPMサイクルの構築」の文字の脚注には、「EBPMの推進には、政策の前提となる関連事実と政策課題を的確に把握するとともに、具体的政策の内容とその効果をつなぐ論理、政策効果とそのコストの関係を明示することが欠かせない。この基盤をなすのが、統計データなどの客観的な証拠であり、政策課題の把握、政策効果の予測・測定・評価による政策の改善と統計等データの整備・改善が有機的に連動するサイクル(EBPMサイクル)を構築することが必要である。」としている。

 

 

 

○「骨太の方針2017」(平成2969日・閣議決定)

 

・「統計改革の推進」として、「「統計改革推進会議最終取りまとめ」等に基づき、証拠に基づく政策立案(EBPM)と統計の改革を車の両輪として、一体的に推進する。」等としている。

 

 

 

○「統計改革推進会議最終取りまとめ」(平成29519日)

 

・「我が国の経済社会構造が急速に変化する中、限られた資源を有効に活用し、国民により信頼される行政を展開するためには、政策部門が、統計等を積極的に利用して、証拠に基づく政策立案(EBPM。エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)を推進する必要がある。」としている。

 

EBPMサイクルの構築については、「政策部局では、統計等データを用いて事実・課題の把握、政策効果の予測と測定、評価を行う。このようなEBPMの取組に必要な統計等データに対するニーズ・要望が顕在化し、それが統計部局やデータ管理部局に伝達される。要望を受けた統計部局やデータ管理部局は統計等データの整備・改善を行い、それが政策部局に提供されて、改善された統計等データの利活用につながる。」としている。

 

 

 

○「統計改革の基本方針」(平成281221日・経済財政諮問会議)

 

・「統計改革推進会議」は、平成2923日に第1回会議が開かれたが、その場に示されたのが、この「統計改革の基本方針」である。その冒頭、「経済統計は、より正確な景気動向判断だけでなく、我が国経済構造の正確な把握を通じて「証拠に基づく政策立案(EBPM)」を支える基礎となり、また、国際社会で活躍する我が国民間企業の経営判断を始めとする国民の合理的意思決定の基礎となるものである。」としている。

 

 

 

○平成31年度予算編成の基本方針(平成3012月7日閣議決定)

 

「PDCAサイクルの実効性を高めるため、各府省は、全ての歳出分野において行政事業レビューを徹底的に実施するとともに、証拠に基づく政策立案(EBPM、Evidence-based Policymaking)を推進し、予算の質の向上と効果の検証に取り組む。」

 

 

 

○内閣府本府におけるEBPMの取組として、新規に予算要求する事業について、政策の目的の達成までに至る因果関係の仮説を示す「ロジックモデル」を作成する、等としている(平成31年1月28日・内閣府本府EBPM推進チーム決定)。(下に示す。)

 

https://www.cao.go.jp/others/kichou/ebpm/pdf/ebpm_houshin.pdf

 

 

〇内閣府本府では、平成30年度の施策につき、EBPMの観点からの具体的検証をHPに掲載してもいる。

(https://www.cao.go.jp/others/kichou/ebpm/kensyou.html)

 

※毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いも、総務省からの指摘、統計委員会への説明から判明した[1]

 

※統計委員会は、「統計法」(平成19年法律第53号)により、専門的かつ中立・公正な第三者期間として、設置されている。統計法第1条には、「この法律は、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。」と規定されている。

 

※政府は、EBPM推進等により、統計の重視等に動いていたところであったが、その中で、今回の毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いが判明したのである。

 



[1]「毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する報告書」(平成31年1月22日・毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会)

(厚生労働省のHPhttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03321.html))

11.平成312019)年調査の実施等に当たっての事実関係」として、「 その後、雇用・賃金福祉統計室長Iは、毎月勤労統計調査の規模500人以上の事業所の数値について、本来であれば全数調査であるため、ローテーション・サンプリング前後で段差が生じることはないにもかかわらず、実際には段差が生じていることについて、総務省から指摘を受け、その点を含め平成302018)年1213日に統計委員会委員長・総務省との打ち合わせの場において総務省統計委員会委員長に本件についての説明が必要になった。これを受けて、同日に東京都の規模500人以上の事業所は抽出調査であり、平成29年(2017)以前の調査については復元処理をしていないこと及び抽出調査の対象府県を拡大する予定であることを上司である政策統括官Jに報告した。」「Jはこの時初めて今回の問題事案を把握し、当該打ち合わせの前にIに対し「統計委員会委員長に正直に話すよう指示した」と述べている。」「同日の打ち合わせでは、東京都及び3府県における抽出調査について説明を行い、統計委員会委員長より「大きな問題ではないか」という趣旨の指摘がなされた。」等の記述がある。