○プライマリーバランスの黒字化について

 

 

 

平成31年度予算は、平成299月に安倍総理が衆議院解散表明をした際に示した考えを具体化するもので、社会保障の充実と消費税と財政再建(2025年度プライマリーバランスの黒字化)の新しい展開を示したものとされますが、ここでプライマリーバランス(PB)の黒字化について見てみましょう。

 

 

 

2025年度の国・地方のPB黒字化を目指すとされた「新経済・財政再生計画」は、平成30年(2018年)6月、政府が閣議決定した「骨太の方針2018」の中で示されたものです。

 

ただ、平成301月の内閣府「中長期の経済財政に関する試算」では、平成30年度のPB赤字が対GDP(国内総生産)比2.9%となり、PB黒字化が2027年以降にずれ込むとの見通しが示されていました。

平成31年1月の内閣府「中長期の経済財政に関する試算」では、平成31年度のPB赤字は対GDP(国内総生産)比2.8%、PB黒字化が2026年度と1年前倒しとなるとの見通しが示されました。試算の中味についての評価はここでは行いませんが、いずれにしろこの段階で2025年度PB黒字化が見込まれているわけではありません。茂木内閣府特命担当大臣は、平成31130日の「中長期試算」の報告の記者会見で、記者の「見通しについてですが、成長実現ケースで見ても、目標に掲げている2025年度のPB黒字化までに、あと1.1兆円残っていますが、この達成のために必要と考えていることを教えてください。」との質問に対し、「これは(2020年度以降の)歳出改革を織り込んでいない試算であります。同時に、潜在成長率の引上げをしっかり図っていくことが重要だと考えており、それによって、しっかりと2025年度のPB黒字化を実現していきたいと思います。」と答弁し、財政健全化策と経済の成長の一層の推進によるとされています。

 

 

 

財務省のホームページには、「基礎的財政収支(プライマリー・バランス)とは、税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出との収支のことを表し、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけまかなえているかを示す指標」となっています。(https://www.mof.go.jp/faq/budget/01ad.htm

 

 

 

「平成31年度予算のポイント」という資料に基づき、平成31年度一般会計予算について見るならば、図のように、約9.2兆円のマイナスとなっています。公債依存度は、32.2%。平成31年度予算には、「臨時・特別の措置」2280億円が含まれていますが、これは、消費税引き上げによる経済への影響の平準化措置、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(2020年度まで)を内容とする臨時的なもので、2021年度以降計上しなくて良い可能性があると考えられますが、これを除くと、一般会計PBは、約8.4兆円のマイナスとなります。