シティズンシップ教育の展開

 

宮﨑 一徳

 

(平成29(2017)9月)

 

①18歳投票率の示すもの

 

 平成27年(2015年)6月、選挙権年齢を18歳以上に引き下げることなどを内容とする「公職選挙法等の一部を改正する法律」(平成27年法律第43号)(以下「18歳選挙権法」という。)が成立。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから初めての国政選挙である第24回参議院議員通常選挙は、平成28年7月に実施され、その年代別投票率は、図1のとおりである。10歳代のうち、18歳、19歳の投票率については、都道府県別に全数調査も行われており、全国の全体の投票率は54.7%であるのに対し、20歳代が35.6%、10歳代は46.78%、そして図2にあるように、うち18歳は51.28%、19歳は42.30%であった。この数字をどう見るかだが、総務省は、「10歳代のうち、特に18歳の投票率は51.28%と、20歳代及び30歳代の投票率に比べ高い水準となっており、主権者教育等による一定の効果が出たものと考えられます」と評価している。

 

 

 図2には、全国のうち18歳の投票率が全体の投票率をも上回った1都4県の数値も掲げている。神奈川県では、全ての県立高校で参議院選挙のたびに模擬投票を行って来た等、主権者教育に熱心であったが、大都市圏の18歳の投票率が高いのは、そうした主権者教育に加え、18歳選挙権に関する報道や若者の政治参加に関するNPO等が関係したイベント等に接する機会の多さも影響したのではないかと思われる。

 

若者の低投票率の問題については、指摘がなされて久しかった。図3の年代別投票率の推移のグラフを見れば、そうした問題が指摘される状況が読み取れる[1]

 

ここで一つ指摘したいのは、図4のグラフにあるように、ある時点に生まれた人が、年代別投票率と同様な投票行動を行ったと仮定すると、加齢により投票率が上がっていくということである。これは素直に、加齢により、政治参加意識、主権者意識が高まると見て良いのではないかと考える。若者の投票率向上は、主権者意識の高まりの発射台を高くするという非常に重要な意味を持つと考える。

 

 各政党は若者向けの政策を発表する等し、選挙の啓蒙をはじめ行政は行政で取組を行い、一部に「18歳選挙権バブル」と言われるほど様々な報道もなされた[2]。注目されたがゆえに18歳の投票率が高かったということもあろうが、学校での本格的な主権者教育の開始は、今後とも若者の投票率の向上を着実に支えるものと考える[3]。文部科学省の動きを見ると、平成27年(2015年)10月29日付け27文科初第933号「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」(通知)で、「議会制民主主義などの民主主義の意義、政策形成の仕組みや選挙の仕組みなどの政治や選挙の理解に加えて現実の具体的な政治的事象も取り扱い、生徒が国民投票の投票権や選挙権を有する者(以下「有権者」という。)として自らの判断で権利を行使できるよう、具体的かつ実践的な指導を行うことが重要です」として留意事項等をまとめた[4]。同年9月には、総務省と文部科学省が連携して、副教材『私たちが拓く未来』を作成し公表。文部科学省は同年11月に文部科学副大臣の下に「主権者教育の推進に関する検討チーム」を設置し、検討を実施。同年12月17日付け事務連絡「高校生に対する政治や選挙等に関する指導の充実について」では「副教材を使用する等した学校や教育委員会における取組例を示している。検討チームは、平成28年(2015年)3月に中間とりまとめ、6月に最終とりまとめを行った。詳細は、文部科学省のホームページ等に譲るが、これらを踏まえ同年6月13日には、主権者教育の推進プロジェクトが示された。上記最終まとめにおける主権者教育実施状況調査によると、平成27年度の卒業生については、「90%を超えるほとんどの学校において特別活動や公民科を中心に主権者教育が行われ、副教材についても積極的に活用された状況が見られた」とされており、「また、現在の在校生に対しても、特に3年生に対しては95%を超えるほぼ全ての学校が主権者教育に取り組む予定としており、年間2~4時間若しくはそれ以上の時間数で主権者教育に取り組むこととしている学校が多く見られた」としている。

 

日本におけるシティズンシップ教育の充実への一般の取組みは、特に平成25年(2013年)の第23回参議院議員通常選挙の前あたりから目につくようになって来たと思える。その象徴的な動きが、平成25年3月の日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)の結成であろう。平成27年6月、18歳選挙権法が成立。前述の『私たちが拓く日本の未来』の作成を始め、平成28年6月の法施行までの急ピッチな主権者教育の様々な取組みに、このJ-CEFのメンバーが中核となって奮闘したものであった。

 

 

 

②日本におけるシティズンシップ教育の動き

 

シティズンシップ教育とはCitizenship Educationの訳で、この言葉自体は以前からあったが、その今日的意味の展開をもたらしたものが、英国のバーナード・クリック教授を委員長とするシティズンシップ教育諮問委員会が平成10年(1998年)に公表した「Education for citizenship and the teaching of democracy in schools (学校におけるシティズンシップと民主主義の教育)」、通称クリックレポートである[5]

 

平成9年(1997年)5月の総選挙で労働党トニー・ブレアは勝利し、政権を獲得。従来の企業国有化・福祉国家を重視する社会民主主義か、個人の自助・市場をもっぱら重視する新自由主義という二者択一ではなく、そのどちらでもない「第三の道」(新しい中道左派の立場)を採用した。また、市場と個人の市場と個人を強調しすぎたサッチャリズムに対して、ブレアはコミュニティを強調し、社会における安全な生活と他者を理解し寛容の精神を持つ活動的市民の要請を提唱した[6]。平成8年(1996年)トニー・ブレアは、労働党の党大会で「労働党政権にとっての3つの優先課題は「1に教育、2に教育、3に教育」だ」と述べているが、それは、「もちろん教育そのものが重要だからだが、それだけではなく教育は、われわれが国家の役割をどう見るかを強調するためでもあった」としている[7]

 

「第三の道」で重視するコミュニティを支える活動的な市民を生み出すためにも、シティズンシップ教育が重視されることとなったのである。クリックレポートでは、シティズンシップ教育の構成要素として、①「社会的・道徳的責任」(social and moral responsibility)、②「社会参加」(community involvement)、③「政治的教養」(political literacy)を掲げ、それらを実現するための様々な記述等を内容としている[8]。この報告を受け、英国では平成11年(1999年)に全国共通カリキュラムの大幅改定がなされ、平成14年(2002年)9月から中等学校レベルでシティズンシップ教育が必修化されることとなったのである[9]

 

この時期、日本においては、新自由主義的要素の強い小泉構造改革路線が推進される(平成13年(2001年)~平成18年(2006年))等、政治的社会的状況には差異があった。しかし、日本においても、平成15年度(2003年度)NIRA公共政策研究セミナーで「教育の制度設計とシティズンシップ・エデュケーションの可能性」の研究がなされ、平成18年3月には、経済産業省・三菱総研の「シティズンシップ教育と経済社会での人々の活躍についての研究会」(宮本みち子委員長)が「シティズンシップ教育宣言」を出し、「社会の意思決定や運営の過程において、個人としての権利と義務を行使し、多様な関係者と積極的に関わろうとする資質」としてのシティズンシップ教育の必要性を提起する等の動きが生じ、教育の現場においても様々な取組がなされるようになって来た[10]

 

さて、シティズンシップ教育について扱うと、日本国憲法前文の「主権は国民に存することを宣言」、第1条「主権の存する日本国民」との文言が思い浮ぶ。昭和21年(1946年)の日本国憲法制定時、臣民として、十分な主権者意識がなかった国民に、主権者意識を持たせようとした、戦後の主権者教育の存在がそこにはあった。昭和22年(1947年)に制定された教育基本法は、様々な議論を経て平成18年(2006年)に全面的に改正されたが、「政治教育」と題された同法第8条は、ほぼ同文のままで同法第14条となっている。制定時の第8条第1項は、「良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。」であり、同条第2項は、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」である[11]

 

文部省の「昭和二十二年教育基本法制定時の規定の概要」には、「本条の趣旨」として、「第一項は、民主主義を実現するためには、国民の政治的教養と政治道徳の向上が必要であることを踏まえ、政治教育において最も尊重されるべき事項を規定するもの。」「第二項は、学校教育における政治教育の限界を示し、特定の党派的政治教育を禁止することにより、教育の政治的中立を確保しようとするもの。」とある[12]。更に、各用語の解説として、次のように記している。

 

「良識ある」とは、「単なる常識以上に「十分な知識をもち、健全な批判力を備えた」という意味」。「公民」とは、「国民が公の立場から社会形成に参加していく関係(広義の公民)に、政治的、経済的、社会的生活の3つがあるとして、積極的に政治的な関係に入る場合の国民という意味であり、政治的観点からみた国民の意」。「政治的教養」とは、「a.民主政治、政党、憲法、地方自治等、民主政治上の各種制度についての知識」「b.現実の政治の理解力及びこれに対する公正な批判力」「c.民主国家の公民として必要な政治道徳、政治的信念」。「教育上尊重する」とは、「a.政治的教養を養うことは、学校教育においても社会教育においてもこれに努めなければならないこと」。「b.教育行政の面で政治的教養を養うことができるような条件を整えること」。

 

このように、戦後日本は政治教育の充実によって、若者の社会参加と民主主義の発展を考えていたのであった。しかしながら、1950年代以降の憲法改正や日米安全保障条約改定をめぐる対立に、学校管理者と一般教員、そして一部の生徒が巻き込まれ、その対立が激化していく過程で、その弊害の大きさから、公民系科目では、現実政治と結びつかない形式的な知識を中心に教えるようになり、学校現場は、政治教育忌避のムードに支配されるようになったのである[13]

 

政治的教養尊重という教育基本法の精神を掲げ、学校教育で現実の政治・社会問題を取り上げられるようになるには、冷戦構造の崩壊、福祉国家の行き詰まりによるシティズンシップ教育の必要性の発生という状況を待つしかなく、戦後40年の経過を必要とした。平成10年(1998年)前後からのディベート学習、その後の模擬選挙がその端緒であった[14]。どちらも政治的中立の枠組みをしっかり保ち、生徒自身が自分で調べて発言し、意思決定することを尊重する教育活動である。

 

  平成25年(2013年)3月17日、立教大学において、日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)の設立記念シンポジウムが行われた。ディベート学習等の開始から10年余、ようやくこうしたフォーラムが設立されたのである。パンフレットには、「市民参画の領域は広がり、このような社会デザインの担い手を育てるシティズンシップ教育への社会的関心も高まる中、既に日本各地では、幅広い世代に対して多様な形態によるシティズンシップ教育の実践と研究、政策形成が展開されていっています。」「こうした中で、様々な場での取り組みが交流を通じて、現場に根差した実践知を生成し、社会全体で幅広く活用されていくことが必要となってきています。」とあった。

 

同年3月22日には、文部科学省のイベントとして、『子どもたちへの政治教育』というテーマでの「サイエンスカフェ」が行われた[15]。その案内には、「今回の総選挙に合わせて各学校などで実施された未成年の模擬投票に対しては、これまで以上に新聞社やテレビ局からの取材も多かったようです。その背景には、2007年に成立した国民投票法が投票年齢を18歳以上と定めたことにより、政治教育への関心が高まっていることがあります。昨年の1月に公表された総務省の「常時啓発事業のあり方等研究会」最終報告書では、将来を担う子どもたちに対し、学校での「政治リテラシー」(政治的教養)の教育を強化することを提言しています。」とあった。

 

J-CEF関係者からは、10年前は、「(シチズン)時計の会社の方ですか?」とまじめに聞かれたとか、「かつては特定の政治勢力とのつながりを疑われかねなかった」等の発言があった。日本において、「なぜ、今か。」という点について、前述の「常時啓発事業のあり方等研究会」最終報告や文部科学省の取組もあるが、サイエンスカフェで小玉重夫東京大学教授は、その質問に対し、「米ソ両陣営に分かれてのイデオロギー対立の時代と、現代との違いがある。イデオロギー対立の中で政治を扱うと、イデオロギー的「色分け」に使われる可能性があった。現代は、イデオロギー問題が全くなくなったというわけではないが、ある意味対立が終焉し、争点が、より多様化、複雑化して来ている。原発、TPP、インフレターゲット等…。今までは官僚とか学者等だけで方向性を示せばよかったが、争点が多様化、複雑化する中で、経済とかエネルギーとか、それ以外の人も含めたみんなが、専門家でない市民が議論するテーマとなって来ている。学校教育の中でも紛争的なものを扱える時期が来ており、それをどう整えていくか課題になっている。大人の社会でも結論が出ていない争点について、子どもたちに効果的に議論されることが大切。」という趣旨の発言をしている[16]

 

平成25年(2013年)5月14日参議院予算委員会における牧山ひろえ君(民)の若者の政治意識に関する質疑で、下村文部科学大臣は、次のように答弁している[17]

 

○国務大臣(下村博文君) (略)

 

改正教育基本法では、教育の目標として、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うことが掲げられております。このことを踏まえまして、新学習指導要領では、中学校の社会科においては、選挙が主権を持つ国民の意思を政治に反映させるための主要な方法であり議会制民主主義を支えるものであるということを理解させるとともに、良識ある主権者として主体的に政治に参加することの意義を考えさせること、また、高等学校の公民科において、政党政治や選挙などに着目して望ましい政治の在り方及び主権者としての政治の参加の在り方について考察させるということになっております。

 

また、指導に当たっては、御指摘がございましたが、ノルウェーで行われているスクールエレクションのように、実際の国政選挙などに合わせて、地域の選挙管理委員会との連携の下、実際の投票所に近い状況で模擬投票を実施する例も我が国にもございます。私も 実際に、中学校や高校で模擬選挙ですね、行われている事例について先生方から話を聞いたこともございます。

 

こうした取組等も参考にしつつ、今後、子供たちに政治参加や選挙の意義についてしっかりと指導を行うことにより、国民主権を担う公民としての必要な資質について養ってまいりたいと思います。

 

そして平成28年(2016年)の参議院選挙後においては、次のような答弁がなされている。

 

○国務大臣(高市早苗君) 18歳の方々の投票率は、私が想像したよりも高かったなとまず感じました。18歳の方々、51.28%でございますから、20代の35.60%に比べて非常に高い水準だと思います。これは、やはり選挙権年齢の引下げを受けて、模擬投票ですとか出前講座など、選挙管理委員会が学校教育と連携して主権者教育を推進したこと、また、学生やNPO法人、その他の関係機関による周知啓発など、これで一定の成果が出たものと考えています。

 

しかしながら、委員もおっしゃいましたけれども、19歳の投票率42.30%、20代の方よりは高いものの、18歳の有権者と比べては低かったので、今後の課題として、高校を卒業された大学生ですとか、また、中学を卒業してもう既に働いていらっしゃる方も含めて、社会人に対する政治参加意識の向上方策というのは重要な課題だと思います[18]。(略)

 

○義家副大臣 (略)

 

選挙権年齢が18歳に引き下げられたことによりまして、これまで以上に、国家、社会の形成者としての意識、そして、自身で課題を多面的、多角的に考え、自分なりの考えを主張する力を育むことが求められていることは明らかであります。(略)主権者教育、そして政治教育と言いながら、児童会の選挙は、先生たちが会長を調整して、選挙が行われないじゃないですかと。確かに、日本じゅうを見ると、選挙に出て、投票があって、落ちると傷つくんじゃないかみたいな配慮の中で、本来立候補したいという人が、先生から説得されて立候補できないというようなことが往々にしてあるという保護者からの声もありました。

 

これもやはり、しっかりと訴えて、評価されたら喜ぶ、評価されなかったら、どこが評価されなかったのか、本人がしっかり主体的に考える、これもまた非常に重要であろうと思いますし、また、高校生になってから突然ではなく、幼児期から、自分のかかわるそれぞれの社会の中で、自分がどのように、思いを、そして責任を全うしていくのかということを導いていくことも重要であります。

 

具体的には、まずは高校で、社会参画に必要な力を実践的に育む科目公共、仮称でございますが、設置等の検討を具体的に行っております。また、大学入学時におけるオリエンテーション等を通じた学生啓発活動、子供が地域に主体的にかかわる地域行事などの機会、お客様ではなく主体者として参画する機会の確保や家庭教育支援等も行ってまいります[19]。(略)

 

○冨樫大臣政務官 (略)

 

初めて18歳選挙権を行使された有権者の方々が引き続き関心を持って政治参加いただけると考えられ、今後の20代の有権者の投票率の向上にも期待が持てるものだったのではないかと考えております[20]。(略)

 

18歳の投票率が19歳と比べて高かったのは、シティズンシップ教育の取組みのせいであり、投票率の高かった18歳は20代になっても高い投票率を維持するであろうという見解は、一度の選挙結果から導き出すには拙速と感じなくもないが、筆者も図4で加齢による投票率の上昇を示していることもあり、その線での展開を期待したい。ただ、高校を卒業し、他の地域の大学に進学する等の場合、住んでいる市区町村で投票をするには、住民票の関係で「現在の居住地で投票ができなかったから」が投票に行かなかった理由の第1に上げられており、この点の対策の必要性が浮かび上がって来ている[21]

 

文部科学省は、「公共」の科目を設置する等シティズンシップ教育を推進するとしている[22]。今後ともどれだけ高い投票率に結びつくかは不明だが、地道で着実な取組み以外に手段があるとは考えられない。こうした教育の積み重ねで、社会の問題にきちんと向き合う若い人々が増え、それが政策提言活動の担い手を育成し、政策課題の解決につなげる動きが、より多く生み出されるのではないかと考える。

 



[1] 若者の政治参加を促すための取組として、政治家インターンシップ等を行う「ドットジェーピー」がNPO法人として活動を始めたのは平成12年(2000年)。インターネット選挙解禁運動を始め、若者の政治参加を促すための「Youth Create」のような、特に若い世代によるインターネットを駆使した活動が、平成24年あたりから目立つようになってはいた。平成25年7月の参議院通常選挙において、20歳代の投票率の減少幅が一番少なくなっているのは、そうした活動があったからだとの見方もあるが、詳細な分析を行うデータを持ち合わせていない。

[2] 「論点 2016参院選18歳選挙権導入の先は」毎日新聞平成28年(2016年)6月29日東京朝刊、「「声を反映」すぐ次の一手を」高橋亮平NPO法人「Rights」代表理事の発言等。

[3] NPO法人「YouthCreate」代表の原田謙介は、The Huffington Post竹下隆一郎編集長のインタビューで「なかでも大きいのは教育が変わった部分です。結局18歳と19歳の投票率が違う理由にはいろんな要素がありますが、要素の一つに昨年(2015年)度に高校生だったかどうかに違いがあると思ってます。今年20歳になる人、つまり現19歳のうちの4分の3は、学校で18歳選挙に関する教育を受けていないんですよ。(略)でも昨年度18歳だった人は、なんだかんだ主権者教育の授業を受けているんです。学校の先生も言っただろうし、どこまで読んでいるかわかんないですけれど、僕も執筆に関わった文科省が作成した本も配られています。」としている。平成28年(2016年)7月30日投稿のThe Huffington Postの記事より。(http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/30/kensuke-harada-youngvoice_n_11274132.html

[4] 27文科初第933号の通知は、昭和44年(1969年)10月31日付け文初高第483号「高等学校における政治的教養と政治滝活動について」を廃止して、それに置き換わったもの。「第3 高等学校等の生徒の政治的活動等」で「(略)法改正は、未来の我が国を担っていく世代である若い人々の意見を、現在と未来の我が国の在り方を決める政治に反映させていくことが望ましいという意図に基づくものであり、今後は、高等学校等の生徒が、国家・社会の形成に主体的に参画していくことがより一層期待される。(略)」とし、それまでの高校生の政治的活動を実質禁止していたのとは、180度異なる通知で、画期的なもの。

[5] Citizenship Advisory Group, Education for citizenship and the teaching of democracy in schools; Final report of the Advisory Group on Citizenship 22 September 1998, Qualification and Curriculum Authority,1998.

Chairman: Professor Bernard Crick.なお、原典とともに、翻訳されたものとして、長沼豊・大久保正弘編著『キーステージ21ソーシャルブックス 社会を変える教育 Citizenship Education –英国のシティズンシップ教育とクリックレポートから―』株式会社キーステージ21、2012年を参照。以下引用は、「前掲クリックレポート」とし、英文は原典、日本文は当該文献の翻訳からのものとする。

[6] 吉田多美子「イギリス教育改革の変遷-ナショナルカリキュラムを中心に-」『レファレンス 平成17年11月号』国立国会図書館、平成17年(2005年)、106頁。

[7] トニー・ブレア著、石塚雅彦訳『ブレア回顧録(上)』日本経済新聞出版社、2011年、192頁。

[8] 前掲クリックレポートより。それぞれの内容は、①「社会的・道徳的責任」(子どもたちが、権威ある者ならびにお互いに対して、幼少からの自信や社会的・道徳的な責任ある態度を教室の内外で身につけること)、②「社会参加」(自分たちの社会における生活や課題について学び、それらに有意義な形で関われるようになること)、③「政治的教養」(知識、技能、価値観といったものを通じて、市民生活(public life)について、更には自身が市民生活において有用な存在となるための手段について学ぶこと)と記されている。原典11~13頁、翻訳121~124頁。

[9] 吉田、前掲論文108頁。

[10] NIRA公共政策研究セミナー(http://www.nira.or.jp/past/icj/seminar/2003/index.html)、「シティズンシップ教育と経済社会での人々の活躍についての研究会」報告書(http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA76567606

[11] 教育基本法(平成18年法律第120号)の第14条第1項は、「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。」同条第2項は、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」となっている。

[12] 文部科学省ホームページ「教育基本法資料室へようこそ!」(http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/004/

[13] 『未来を拓く模擬選挙』編集委員会『未来を拓く模擬選挙 実践シティズンシップ教育』悠光堂、2013年。杉浦正和「第1章」「第2節 模擬選挙とシティズンシップ教育」18、19頁参照。

[14] 平成10年(1998年)文部省告示第176号:中学校学習指導要領において「対話や討論などを行うこと」が、平成11年(1999年)文部省告示第58号:高等学校学習指導要領において「自分の考えを明確にして、スピーチ、発表、討論などを行うこと」が掲げられる等している。

[15] http://resemom.jp/article/2013/03/04/12448.html

[16] 当該サイエンスカフェに論者も参加。小玉教授の発言を記録。

[17] 第183回国会参議院予算委員会会議録第17号。

[18] 第192回国会参議院総務委員会会議録第3号、平成28年(2016年)10月25日、伊藤孝恵参議院議員の質問に際しての答弁。

[19] 第192回国会 衆議院文部科学委員会会議録第6号、平成28年11月16日、池田佳隆代議士の質問の際の、文部科学副大臣の答弁。

[20] 第192回国会 衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会会議録第2号、平成28年10月26日、落合貴之代議士の質問の際の総務大臣政務官の答弁。

[21] 公益財団法人明るい選挙推進協会が平成28年7月に18~24歳を対象とした「新有権者等若年層の参院選投票日後の意識調査について」の調査結果によると、投票に行かなかった人に、参院選の投票に行かなかったのはなぜか、10の選択肢の中の上位3つの選択肢は「面倒だったから」(29.4)、「選挙にあまり関心がなかったから」(26.4)、「現在の居住地で投票ができなかったから」(22.8)であった。年齢別で18~20歳までは「現在の居住地で投票ができなかったから」が最も多く選択されていた(1830.0%、1928.7%、2031.3%)。現在住んでいる市区町村で投票をするには、住民票を移してから3ヶ月以上住んでいなければならない点の啓蒙や対策の必要性という問題点が浮かび上がって来ている。

http://www.akaruisenkyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2016/08/HP用(参院選後).pdf

[22] 文部科学省は、平成27年(2015年)8月、新しい学習指導要領の骨子案で、2022年度をめどに高校での新たな必修科目として、社会参画に必要な力を育てる「公共」を設ける等を示した。