○日本国憲法第8条の規定による議決案(第198回国会閣議第1号)

 

 

 

 日本国憲法第8条は、「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければならない。」とされています。

 

 

 

 また、皇室経済法(昭和22年法律第4号)の第2条において、次のように規定されています。

 

「第2条 左の各号の一に該当する場合においては、その度ごとに国会の議決を経なくても、皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与することができる。

 

  一 相当の対価による売買等通常の私的経済行為に係る場合

 

  二 外国交際のための儀礼上の贈答に係る場合

 

  三 公共のためになす遺贈又は遺産の賜与に係る場合

 

  四 前号各号に掲げる場合を除く外、毎年41日から翌年331日までの期間内に、皇室がなす賜与又は譲渡に係る財産の価額が、別   に法律で定める一定価額に達するに至るまでの場合」

 

 

 更に、皇室経済法施行法(昭和22年法律第130号)の第2条に、次のように規定されています。

 

「第2条 法第2条第4号の一定価額は、左の各号による。

 

  一 天皇及び法第4条第1項に規定する皇族については、これらの者を通じて、賜与の価額は1千8百万円、譲受の価額は6百万円とする。

 

  二 前号以外の皇族については、賜与及び譲受の価額は、それぞれ160万円とする。ただし、成年に達しない皇族については、それぞれ35万円とする。」

 

 

 

天皇陛下の御即位に際し、御即位を祝するために物品が贈与されることが考えられますが、皇室経済法(及び皇室経済法施行法)の範囲を超える可能性がある場合、譲り受けることができるようにするには、国会の議決が必要となってきます。

 

 

 

こうしたことより、「日本国憲法第8条の規定による議決案」が今国会に提出されました。その内容は、次のとおりです。

 

 

 

「皇室は、皇室経済法施行法第2条に規定するもののほか、令和元年1011日から同年1129日までの間において、内閣の定める基準により、天皇陛下の御即位を祝するために贈与される物品を譲り受けることができる。」

 

 

 

 ここに言う「内閣の定める基準」ですが、先例である平成273日の閣議決定の「天皇陛下の御即位を祝するために贈与される物品の譲受けに関する基準について」では、「皇室が物品を譲り受けることができるのは、次に掲げる団体から贈与される場合とする。」として、

 

「一 衆議院、参議院、内閣又は最高裁判所の構成員等によるもの

 

 二 都道府県等

 

 三 海外にある邦人によるもので、在外公館の長の意見を聴いて宮内庁長官が特に適当と認めるもの」

 

が掲げられています。

 

誰からでももらえるとなると、収拾のつかないことになってしまいますので、今回も同様の「内閣の定める基準」が決定されることが想定されています。

 

 

 

ちなみに、平成2年の神奈川県からのお祝い品は、鎌倉彫飾盆でした。その他、各都道府県からのものも伝統工芸品が多かったです。